世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 著:八木仁平
中田敦彦さんのYouTube大学でも紹介されていた本書。
自己省察を定期的にやりたくなる自分も、著者と同じように自己理解オタクなのかもしれません。
気になったので、本屋で購入し、読んでみることにしました。
体系的に自己理解を教える仕事をされているようで、迷いなく進めることが出来るようになっています。
好きなこと(情熱)×得意なこと(才能)×大事なこと(価値観)=本当にやりたいこと
この公式に従って、本当にやりたいことを見つけていくわけですが、順番もあり、
まずは大事なこと(価値観)
次に得意なこと(才能)
得意なことのうち、他人に価値を提供できるもの(仕事)をいくつか挙げてみて、
好きなこと(情熱)に沿ったものを見つける。
ざっくり言うとそんな感じ。
本は読みやすくて、2時間ほどで読了出来ました。
自己理解ワークと感想
本書の巻末には価値観と得意なこと、情熱を見つけるヒントになる30個ずつ計90個の質問と100個ずつのリストが添付されています。
過去から現在、未来にかけて考え直す深い質問が沢山。
答えていくと、「新しい自分」に気付くことも多いと思います。
この手の自分を知る自己省察はここ最近色々とやってきたので、新しいことは出てこないかなと思っていたのですが、まだまだ忘れているもの、気付いていないものはありますね。
まずは価値観を掘り下げるための用意されていた質問に答えてみることにしました。
Q1 尊敬する人、尊敬する友人、好きなキャラクターは誰ですか?
その人のどんなところを尊敬していますか?
A1 Mr.Childrenの桜井和寿さん
作品に表れる鋭くも繊細な感性と、夢に正直に生きているところ
Q2 幼い頃や思春期にあった、今の自分に一番大きな影響を与えている出来事or経験は何ですか?
それらが自分の価値観にどう影響を与えましたか?
恋愛
自己理解に繋がり、歪んだアイデンティティを砕いてくれた。
想いを伝えることの大切さを学んだ。
Q3 今の社会には何が足りないと思いますか?
肝要さ、中庸
べき思考、白黒思考に捉われている人が多いと思う。
Q4 「自分って人生で何を大事にしてそうかな?」と周りの人に聞いてみてください。
妻からの回答「時間」
・・・時は命なり、という格言で繋がりました。
自分は生命を大事にしたいと思っていたことに気付くきっかけになりました。
Q5 自分の子供を育てたり、他人に助言するときに、一番伝えたいのはどんな行動で、一番伝えたくないのはどんな行動ですか?
主体性、社交性、安全・健康があれば十分。
受動的、隷属的、衝動的にはなって欲しくない。
価値観について
自分の大事な価値観は、「成長」「人間関係」「自尊心」「平穏」「家族」だと思っていました。
それは間違ってはいませんが、「自由」「価値」「合理」「費用対効果」「生命」「幸福」「見栄」も大事になっていると認めざるを得ませんでした。
成長は大事ですが、両親から言われた節もありますし、何をしていても考えようによっては成長しているものと捉えることも出来るので敢えて意識する必要もないかなと思いました。
意外に思ったのは「見栄」でした。
一人で生きるのであれば全く必要ないものですが、家族が居て親戚が居て無視することも出来ません。
家族に居心地悪い想いをさせずに生きるためには、ある程度「見栄」も必要で、自尊心持って生きるにも一定の役に立っていると思いました。
重要度で言えばトップには来ませんが。
「時間」から転じて「生命」を大事にしているという価値観は医療職であることに誇りを感じられることも、他人の命の時間を尊重したいと思うことにも納得のいく重要な価値観でした。妻には感謝です。
得意なこと
得意なことでは、VIA強みテストで上位だった分析思考、共感力、着想の他に、過去の体験から振り返って平静であること、感情のコントロールが上手いこと、没頭できることが出てきました。
無意識に、自然に、一日中でもやってしまうことは何だろう?という観点からは、ゲームとか釣りとか、趣味のことが多く出てきました。
趣味にも得意なことが反映されていると思います。ゲームも、釣りも、状況やパラメーターを分析して試行錯誤を経て上達していくところがあります。
長所と短所は表裏一体なところがあり、得意だからやった方が良い、苦手だからやらなくて良いとも言い切れず、
好きかどうか、努力なしで出来てしまうものかどうかも絡めて、やりたいことを見つけていくのが良いとする本書は至言だなと思いました。
感情のコントロールは得意でも、感情を抑制することは害にもなるので、時々感動するような作品に触れたり、感涙したりしてバランスを取ることも必要だなということにも気付けました。
本書を読む前は、考えること全般、勉強全般得意で、コミュニケーション全般が苦手だと思っていました。
しかし、本書を読んで考え直していくと、勉強の中でも数学、計算するものは飛びぬけて得意で、国語や美術や音楽など感性を要求するものはさほどでもなかったなといったことや、
コミュニケーションの中でも雑談したり表面的に仲良くしたり場を回したりするのは苦手でも、少人数で話すのは出来るし居心地悪そうにしている人に目が行くし、文章を作ることは得意と言えるかもしれない。と細部に考えを及ばせることが出来ました。
漠然とした理解で止まってしまうことと、詳細に深く知ることの違いは大きいです。
好きを仕事にして上手くいかない理由はここにあると思います。
本心とのズレが違和感や矛盾を生んで苦しむ元になります。
漠然とした「得意」は慢心に繋がり、そこで止まってしまう。漠然とした「不安」は肥大化して怖くて動けなくなってしまう。
問題解決するにも挑戦や行動を進めるためにも深く知ることは大事になってくると思います。
選択肢に溢れた現代だからこそ。
好きなこと
ここは思いつくままに挙げてみることにしました。
釣り、ミスチル、心理学、数学、感動、お金、人間、医療、仕組作り、工夫、分析、自己受容、自己理解、自尊、
価値観として大事にしているから、好き。
得意だから、自分を前向きに捉える事が出来て、好き。
そうなってくる側面もあると思います。
自己理解を進めてきて気付いたことは、「好きだと思うようにしていたこと」がいくつかあるなということ。
人間関係についていえば、組織において円滑に皆が上手くやれるようになるのが大事だと思っていて、それが組織で働く目的と言えるくらい大事なことだと思っていました。
協調性を重んじる学校・社会の教育に長く触れていたことによる副産物ですな。
人間関係作りが好き、というのは、職場の雰囲気を良くする役割になり、管理者からも重宝されるところだと思います。
でも、皆がそんな想いではない。
人間関係が良いに越したことはないが、
成果を出すことが一番だと思う人がいたり、
ルール(ガイドライン、法律、不文律)を遵守していることが大事だと思う人がいたり、
自分の中の正義を大事に思う人がいたりする中では、
価値観の衝突、人間関係の不和が不可抗力的に起こることがあります。
それら複雑な人間関係を丸ごと解決することは出来るはずもありません。
病院組織の中で自分が「無駄に苦しんだ」こともあることでしたが、他人を変えることには固執しない方が良いと学びました。
他人同士、自分も含めた集団の人間関係を大事に考える協調性は捨ててみることにしました。
アドラー心理学でいう所の「課題の分離」
他人が、その周囲の人とどう関わるか、どう気持ちの整理を付けるかは、その人の課題であって、介入の余地はない。
自分の課題は、自分を知り、他人の考えを察して、関わりたい人と良い関係を築くこと。
自分は自分を変える所までしか出来ないし、しなくていい。
切り離すと、ずいぶん楽に生きられると思えました。
「内向型である自分は自然にしていると、自分にばかり興味関心が行って、他人のことは気にならなくなる。関わりたがらず一人でいる人間になる。」
ということも真実だと思います。
コミュ障と思われたくないから、人と関わり、人間関係作りをしたくなるように「矯正」していた。そう言う面もあると思います。
他人に興味が薄いことを逆に利用すれば、他人に固執せず、独立した人同士付き合いやすい関係を作ることに役立つかもしれない。
他人を「自分を映す鏡」として見て、接して、内省するきっかけにすることも出来る。そうすれば、別の意味で興味を持つことになるのかもしれない。
内省を深めるほどに、物事は表裏一体で、両極に振れながら、適当な「塩梅」を見つけていくものだなと思いました。
書いていて、人間について考えるのが好きなのかなと思いました。
結論
分析思考によって真実を見つけることが役に立ち、
人間関係作り、仕組み作りの能力が活き、
生命を大切にする。
感動することも時々ある。
一周回ってきた感じですが、医者が向いているなと思いました。
あとはやり方(手段)の工夫だと思います。
医師のしての社会貢献には、病院勤務以外にも起業、開業、情報発信、教育など、形はいくつもあると思います。
工夫して試して適切な方法を探していくこと。
自分の本当にやりたいことと真剣に向き合ってみて、新しい挑戦についてのスタートラインにようやく立てた気がしました。
自己理解ワークは、皆さんにお勧めしたいと思いました。