Kanchan(@kanchanblog)です。
サイドFIRE生活をしている医師です。
フリーランスとして働き始めると、所得税が源泉徴収で天引きされ過ぎていることが多いと思います。
勤務先が「君はバイトでたくさん稼いでいるんだろう?」と判断して税率が高く設定されているのかと思ったら、そうではなく、厚労省が公表している源泉徴収税額表に従って自動的に決められているだけでした。
確定申告をすれば前年取られ過ぎた所得税は還付されるので、当座のお金に困らないのであれば気にしなくても良いかもしれません。
しかし、インフレ率や割引率を気にしている人間からすると、「本来貰えるお金が一年後にやっと貰える状況」は機会損失であり、歯がゆさを覚えます。
先に貰って、債券でも買っていれば1年後数%の利息を生んでいたことになるわけですから。
その額が100万円になれば数万円です。無視できませんよね。
医師バイトで収入を得ている人が実際どれくらい源泉徴収され過ぎているのかと、その対策について計算してみました。
月間の源泉徴収税額まとめ
収入月額 | 所得税 | 手取り | 所得税率 |
¥ 80,000 | 0 | 80,000 | 0% |
¥ 90,000 | 3,200 | 86,800 | 4% |
¥ 100,000 | 3,600 | 96,400 | 4% |
¥ 110,000 | 3,900 | 106,100 | 4% |
¥ 120,000 | 4,300 | 115,700 | 4% |
¥ 130,000 | 5,700 | 124,300 | 4% |
¥ 140,000 | 7,100 | 132,900 | 5% |
¥ 150,000 | 8,700 | 141,300 | 6% |
¥ 160,000 | 10,200 | 149,800 | 6% |
¥ 170,000 | 11,700 | 158,300 | 7% |
¥ 180,000 | 13,900 | 166,100 | 8% |
¥ 190,000 | 17,500 | 172,500 | 9% |
¥ 200,000 | 20,900 | 179,100 | 10% |
¥ 250,000 | 36,400 | 213,600 | 15% |
¥ 300,000 | 53,700 | 246,300 | 18% |
¥ 350,000 | 70,000 | 280,000 | 20% |
¥ 400,000 | 89,800 | 310,200 | 22% |
¥ 450,000 | 118,700 | 331,300 | 26% |
¥ 500,000 | 146,800 | 353,200 | 29% |
¥ 550,000 | 171,300 | 378,700 | 31% |
¥ 600,000 | 196,300 | 403,700 | 33% |
¥ 650,000 | 219,000 | 431,000 | 34% |
¥ 700,000 | 242,900 | 457,100 | 35% |
¥ 750,000 | 261,842 | 488,158 | 35% |
¥ 800,000 | 272,665 | 527,335 | 34% |
¥ 900,000 | 296,148 | 603,852 | 33% |
¥ 1,000,000 | 324,736 | 675,264 | 32% |
週1日8万円のバイトで、額面月収32万円となります。
源泉徴収で約20%天引きされます。
同じ条件で週2日同じ勤務先で働くと月収64万円、約34%天引きとなります。
累進課税のため月収20万を超えたところから税率がうなぎ上りになっているのが分かりますね。
一カ所でたくさん稼ごうとすればするほど税率が高くなって、手取りの割合が減って行きそうです
次に、本来の所得税を見ていきます。
年収と所得税
年収 | 所得税(年) | 税率 | 月収換算 | 所得税(月) |
¥ 4,000,000 | 90,000 | 2% | ¥ 333,333 | 7,500 |
¥ 5,000,000 | 140,000 | 3% | ¥ 416,667 | 11,667 |
¥ 6,000,000 | 210,000 | 4% | ¥ 500,000 | 17,500 |
¥ 7,000,000 | 320,000 | 5% | ¥ 583,333 | 26,667 |
¥ 8,000,000 | 480,000 | 6% | ¥ 666,667 | 40,000 |
¥ 9,000,000 | 640,000 | 7% | ¥ 750,000 | 53,333 |
¥ 10,000,000 | 820,000 | 8% | ¥ 833,333 | 68,333 |
¥ 11,000,000 | 990,000 | 9% | ¥ 916,667 | 82,500 |
¥ 12,000,000 | 1,190,000 | 10% | ¥ 1,000,000 | 99,167 |
¥ 13,000,000 | 1,410,000 | 11% | ¥ 1,083,333 | 117,500 |
¥ 14,000,000 | 1,710,000 | 12% | ¥ 1,166,667 | 142,500 |
¥ 15,000,000 | 2,030,000 | 14% | ¥ 1,250,000 | 169,167 |
¥ 16,000,000 | 2,360,000 | 15% | ¥ 1,333,333 | 196,667 |
¥ 17,000,000 | 2,690,000 | 16% | ¥ 1,416,667 | 224,167 |
¥ 18,000,000 | 2,990,000 | 17% | ¥ 1,500,000 | 249,167 |
¥ 19,000,000 | 3,310,000 | 17% | ¥ 1,583,333 | 275,833 |
¥ 20,000,000 | 3,630,000 | 18% | ¥ 1,666,667 | 302,500 |
¥ 21,000,000 | 3,950,000 | 19% | ¥ 1,750,000 | 329,167 |
¥ 22,000,000 | 4,280,000 | 19% | ¥ 1,833,333 | 356,667 |
年収別の所得税率をむさしコーポレーションのサイトを参考に調べてみました。
月収で見てみると、100万円で所得税率が10%になることが分かります。
源泉徴収税額表では、月収20万円で10%、月収100万円で32%(1カ所の場合)でしたから、結構な乖離があります。
標準的な報酬の医師バイトでは源泉徴収で引かれすぎる可能性が高いことが見えてきました。
給与所得者たるもの天引きに抗うことは出来ません。
この乖離を埋める方法について考えていきます。
対策
対策① 給与を小額で得る
対策の1つ目は月収20万円以下の勤務先を増やすこと。
毎週半日4-5万程度のバイトをしたり、単発でスポットバイトを入れることです。
月収20万円以下であれば、徴収される税率は10%以下となり、過剰に徴収される分を「薄める」ことが出来ます。
週2日で65万円、所得税22万円(34%)+週半日18万、所得税1.4万(8%)×2カ所とすると、月収101万円に対して所得税25万、税率約25%まで下げられます。
尚、「薄め」過ぎると、翌年の確定申告で追徴課税がなされるので御注意下さい。
対策② 給与を稼ぎまくる
もう1つの対策は、稼ぎまくること。
源泉徴収税額表から計算してみると、更なる高所得になる分には税率はそれほど変わりません。
※税「額」は比例して上がります。
¥ 1,000,000 | 324,736 | 675,264 | 32% |
¥ 1,200,000 | 392,122 | 807,878 | 33% |
¥ 1,500,000 | 493,201 | 1,006,799 | 33% |
¥ 1,700,000 | 560,587 | 1,139,413 | 33% |
¥ 2,000,000 | 683,107 | 1,316,893 | 34% |
それに対して、年収は上がれば上がるほど所得税率が上がって、追い付いてきます。
¥ 20,000,000 | 3,630,000 | 18% | ¥ 1,666,667 | 302,500 |
¥ 21,000,000 | 3,950,000 | 19% | ¥ 1,750,000 | 329,167 |
¥ 22,000,000 | 4,280,000 | 19% | ¥ 1,833,333 | 356,667 |
¥ 24,000,000 | 5,030,000 | 21% | ¥ 2,000,000 | 419,167 |
¥ 25,000,000 | 5,430,000 | 22% | ¥ 2,083,333 | 452,500 |
¥ 26,000,000 | 5,910,000 | 23% | ¥ 2,166,667 | 492,500 |
¥ 28,000,000 | 6,850,000 | 24% | ¥ 2,333,333 | 570,833 |
¥ 30,000,000 | 7,670,000 | 26% | ¥ 2,500,000 | 639,167 |
¥ 32,000,000 | 8,480,000 | 27% | ¥ 2,666,667 | 706,667 |
¥ 35,000,000 | 9,700,000 | 28% | ¥ 2,916,667 | 808,333 |
¥ 36,000,000 | 10,110,000 | 28% | ¥ 3,000,000 | 842,500 |
¥ 40,000,000 | 11,740,000 | 29% | ¥ 3,333,333 | 978,333 |
上を挙げればキリがありませんが「常人」の限界ラインとして4000万円までに留めておきました。
3000万円を超えて稼ぐのであれば、源泉徴収額と実際の所得税額の差は埋まって違和感が無くなってくるかなと思います。
対策③ 甲欄計算にしてもらう
もう一つの解決方法は、メインの収入を得ている勤務先に扶養控除等申告書を提出して、給与計算方法を甲欄計算にしてもらうこと。
非常勤医師で甲欄計算にしているという人を聞いたことがなかったのですが、勤務先が受け付けてくれるのであれば最も堅実な方法です。
扶養家族がいれば、源泉徴収額をかなり抑えて適正な手取りを獲得することが出来ます。
年末調整が必要になったり、控除を計算するための書類を求めたり、税務署とやり取りしたり、勤務先にとっては「面倒」になり、嫌がられることもあるかもしれませんが、認められている権利はしっかり主張するようにしましょう。
源泉徴収額を気にして働き方を調整するのは手間がかかるので、この対策が最もコスパが良いと言えるかもしれません。
まとめ
源泉徴収額で必要以上に天引きされる問題と、それを緩和する方法について取り上げてきました。
給与が小額のバイト先を複数持つこと、源泉徴収額が「適正」と言える位の水準まで稼ぎまくること、メインの勤務先に甲欄計算で給与を出してもらうことが対策として考えられました。
必要な納付額と源泉徴収額を近づけることで、投資利益を得る機会損失を避けることが出来ます。
確定申告後に還付されるまで「預けられた状態」になっていますが、利息が付くわけでも増えるわけでもありません。
手元にあると使ってしまうという人は、「天引き貯金」と思って、この些細な問題は気にしないと考えても良いでしょう(笑)
お金にまつわるマニアックな問題ですが、収入について見直す一助になればと思います。
ここまで読んで頂きありがとうございました。