フリーランス医師2年生になりました。
消化器内科でやってきて、内視鏡バイトを中心にスポット勤務も沢山してきました。
COVID19の流行とともに2020年は求人件数が一時半減以下となったり、安い単価の仕事が出てきたり、従来の買い手市場が売り手市場に転じたかと思う場面もありましたが、
第2波、第3波の中では診療は縮小せずに、感染対策を行いながら継続する流れとなり、求人数も戻ってきているように思います。
今回医師の側から見たスポット勤務のメリット・デメリットについて解説したいと思います。
メリット
日時を選んで仕事が出来る
スケジュールの空いた日を仕事で気楽に埋めることが出来るというのがスポット勤務の最大のメリットと言えるでしょう。
半日4万円、一日8万円からの臨時収入は他の方法で稼ごうとすると大変です。
空いてしまった日に少しでも稼ぎたいと思う医師に合った働き方だと思います。
旅費を稼ぎながら旅行計画を組むことが出来る
時間的自由の次は空間的自由!(笑)
住所を気にせず全国からスポット勤務を探して応募することができます。
小旅行になるくらい遠くの勤務先を探して、旅行の道中一日ないし二日仕事をして旅費を稼ぎつつ、旅行も楽しんで帰ってくるという利用の仕方も可能です。
地方の人手不足が深刻な病院では、交通費や宿泊費も負担してくれるところもあります。確認してみましょう。
働き方の自由を重視する人には非常に魅力的な使い方ではないでしょうか。
心理会計的には、稼いだ額を旅行で使い切ってしまいやすい罠がありますが、人生を楽しむ意味ではそれでも良いんじゃないかと思います。
様々な医療機関の「お作法」を経験することが出来る
スポット勤務の医師に任されることが多い仕事は、「誰が入っても回すことが出来るルーティン化された仕事」です。
これをこなしていても医師としてスキルアップしていくのは簡単ではないでしょう。
なので、医師としてのスキルは磨けない代わりに、医師を上手く使う仕組みを学ぶという視点に立つと、チームを作ったり、ビジネスを作ったり、外注したりといったマネジメントに関わる仕事の基本的なことが学ぶことが出来ると思います。
内視鏡バイトで言えば、レポートの書き方、写真の撮り方、説明の仕方、薬の使い方
外来で言えば、お約束処方、カルテ記載、説明用紙、可能な検査とその頻度
といった医師個人で全然違うこともある「お作法」をどのように統一して仕組み化しているのかなという点は新しい医療機関に出向くたび勉強になるものがあります。
人間関係に後腐れがない
スタッフの中には、やる気が感じられない人が稀に居て、その方が付いてくれることもあります。
そういう時に教育や付き合いを根気強く続けなくてはいけない常勤・定期非常勤と違い、スポットの場合は割り切ってしまって余計な労力を割かないという選択をすることが出来るようになります。
成長させることが出来たという経験はそれはそれで価値が高いものですが、金銭的な評価にすぐに繋がらない見えない仕事でもあるため、それは断りたいと思う人には、スポット勤務という付き合い方も一考に値するのかなと思います。
デメリット
急なキャンセルに対応してくれない
医療機関の立場に立てば、欠員が出て他の人で埋め合わせも出来なくて止むを得ず、紹介会社に高いマージンを払って募集しているスポット勤務。
ということもあり、やっと決まった医師が、更にドタキャンという事態は大きな痛手です。
スポット契約の締結にあたっての規約に「どうしても勤務ができない場合は他の医師をあたって頂きます」と記載されていることも多いです。
キャンセルしたことはないので分かりませんが、その医師の信用低下になるのかもしれません。
この御時世、体調不良でも無理に出ていく温床になるかもしれず、お互いにリスクになってしまうかもしれませんがそれはまた別の話。
逆にキャンセルされることはある
コロナ禍のような不況で、最も切りやすい人材であるということも自覚しておいた方が良いでしょう。
キャンセルは基本できませんという注意書きと同時に、勤務が無くなる可能性があることを了承して下さいと記載されていることが多いのです。
雇用の調整弁なのだなと思います。
実際に決まっていた勤務が、「休みの予定だった常勤医が出られることになったのでキャンセルでお願いします」と連絡があって無くなったことがありました。
休業補償、キャンセル料等は全くありませんでした。
成約率が高くない
大量に出ているハイパー病院の日当直とか、一部の求人を除いて、適正価格で募集されている良い求人はすぐに決まる傾向にあります。
応募しても採用されないことも多く、体感的に1/2〜1/3くらいの確率で採用が決まる感じです。
医師でもこんなに断られることがあるんだ、と不採用に対して免疫が付く気がします(笑)
申し込んでも未確定、採用決まっても未確定、キャンセルの連絡なく当日を迎えてようやく確定。
その位の緩いスケジュール&収入と思っておくのが精神衛生上良いと思います。
源泉徴収票が増えて確定申告が大変になる
医師はバイトをしていれば確定申告が必要となっていることが多く、それ自体は慣れっこだと思います。
スポット勤務は定期勤務も申し込まない限り医療機関一つにつき一回から数回の勤務で、複数箇所の勤務になります。
あちこちへ行っていると1年間で源泉徴収票が10枚以上になることもあります。
もう分かりますね?
人間関係が作れない
一度や二度の勤務で顔と名前を覚えたり、個人的な関係に繋げることはよほど狙った人がいない限りはまずないことでしょう。
人間関係作りが好きな人には物足りない点かもしれません。
まとめ
ここまでまとめてみて、スポット勤務というのは好き嫌いの分かれる働き方だなと思いました。
単発の仕事で、時間や場所を選んで働くことができて、旅行の過程に入れる、急な休みに稼ぎたい、自由な使い方が出来るので、自由が好きな人には向いていると思います。
自由である反面、没個性化しやすく、プライドとか高い専門性を発揮したいという方には向かないと思います。
本質は穴埋めのマッチングで、キャンセルポリシーの内容を見ても医療機関側が有利な契約です。
また、あぶく銭感が強いため、数万円の稼ぎは無駄遣いに消えてしまいやすいんじゃないかなという印象も持ちました。
それから、訴訟リスクをカバーしておくために個人で医賠責保険に入っておく必要はあると思います。
補償内容の穴になりやすいのは、健診と産業医業務が含まれない契約である場合があること。
企業健診、学校健診はスポット求人で多い仕事でもあるので、特約等で入っているのかどうか、追加できるのかどうか、勤務する前に確認しておきたいところです。
お勧めの求人サイト
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