Kanchan(@kanchanblog)です。
記録の力についてのちょっとマニアックな話です。
かれこれ10年以上、体重を基本として日々の記録を残してきました。
きっかけはダイエットです。
世界一簡単な「毎日測った体重を記録するだけのダイエット」を始めたことでした。
毎日体重を測って記録を付けていると、食べ過ぎて増えた次の日は、ちょっと食べるのを控えて戻そうという気になります。
数日の間に戻せれば、ダイエットに苦しむことすらなく、元の体型に復帰できます。
記録が積み重なってくると、測り忘れた「空白」が気になるようになり、
当直明けの日の朝イチの体重を測るために体重計を医局の机に忍ばせたりもしました(笑)
ダイエット以外にも目標達成に使えるんじゃないかと思い、記録の項目は次第に増え、意味のない項目は入れ換えたりしながら、ずっとブラッシュアップを続けています。
今回はそんな経験から記録を使った自己分析の方法を紹介していきます。
重回帰分析を使った「超自己分析」の手順
1.記録を付ける習慣を作る
記録は目標達成に有効ですが、自分にとって何が有効かは試してみないと分かりません。
とにかく色々と記録をとって分析してみて、結果につながっていく記録が何なのか探る必要があります。
少なくとも2週間は記録をつけて見ないと、正しいものなのかどうかも分かりません。
週4日以上、8週間連続で続けることが出来れば第一段階の「記録の習慣作り」が成功したと言えます。
8週間=2ヶ月分データが集まれば、それなりのことが分かります。
目的に合った項目を記録するのが大事ですが、何が自分の目標達成のために合っているかは続けて分析しながら見つけて行けば大丈夫です。
2.仮のKPIを決めてみる
Key Performance Indicatorはビジネスにおいて目標達成のために重要な指標となるものを指します。
自分の目標達成に何が大事になりそうか、考えます。
健康状態を改善させるためにお酒を飲む量を減らしてみたら良いのではないか?と考えた場合を想定して作ってみます。
飲酒量も実際記録し続けている項目の一つです。
3.Excel分析ツールを使う
Excelのデータタブ>データ分析を選択して分析ツールを開きます。
デフォルトでは表示されていないと思います。
表示されていなければデータ分析ツールのアドインを有効にしてみて下さい。
分析ツールを開くと、どの統計処理を行うか選択できます。
重回帰分析がしたいので、「回帰分析」を選択します。
入力Y範囲に調べたい数字(仮KPI)のデータを入力します。
入力X範囲に調べたい数字に仮KPIと相関することを考えた説明変数の候補をまとめて入力します。
先頭行の項目名を含めて選択する場合は□ラベルにチェックを入れます。
で、OKをクリックするだけ。自動的に解析結果が表示されます。
データが完全に揃っていないとエラーが出ます。手動で適当に埋めたり、除外したりしてデータを成形します。
説明変数の組み合わせを沢山試してみるのも面白いプロセスです。
データ解析が終わると、下記のような解析結果が新規シートに表示されます。
統計の先生に怒られるかもしれませんが、ざっくり言えばP-値の低い項目ほど、相関が強く、仮KPIと関連していることが疑われます。
その日のアルコール量と関連が強そうな順位は1位翌日の体重増加、2位スクリーンタイム、3位ワークアウト(運動時間)でした。
1位翌日の体重増加と3位ワークアウト時間は飲酒量増加と正の相関を示していました。
2位スクリーンタイムだけ係数がマイナスで、負の相関、つまり酒を沢山飲んだ日ほどスマホのスクリーンタイムが短かったということが分かりました。
4.結果の解釈
この結果をどう解釈するかが分析の肝要な部分です。
計算されて出てくるのは「相関」であって、「因果」ではないのがポイントです。
アルコール量と翌日の体重増加との正の相関については、酒飲むと食が進んで食べ過ぎるせいだろうな、と想像が付きます。
アルコール量とワークアウト時間の正の相関は、この計測期間の記憶から、飲み会があって沢山飲む日には一日出歩いてウォーキング(ワークアウト)の時間を測っているからワークアウト時間が長い傾向になるんだろうな。
その証拠にワークアウトで消費したカロリーとの相関は殆どない。といった要領で因果関係を推定していきます。
アルコール量とスクリーンタイムとの負の相関については、飲み会があるような日は夜スマホを見る時間が減るからだろうなと、推定しました。
このあたりは人によって変わると思います。
スマホを見る時間が長くなるほど食欲が増進されて、欲望のままに飲食すれば食べ過ぎるし、飲み過ぎる傾向になってもおかしくありませんし、その方が納得します。
でも、自分の場合は違っていたということが分かれば、それはそれで一つの答えです。
上記のような解釈では、飲酒量を減らすための行動は分からずじまいです。
ワークアウトをしなければ酒を飲まずに済むかと言えば、寧ろ逆な気がします。
スクリーンタイムを長くしていれば酒が減るかと言うと、これも逆な気がします。
翌日の体重増加に至っては、すでに飲んでしまった翌日でありどうしようもありません。
日常生活は色々なパラメータが複雑に絡み合っているわけで、ここを改善すればすべてが整うということが見つかる方が少ないです。
たまに見つかると、感動します。
ちなみに、上記の分析と無関係で恐縮ですが、飲酒量を減らすことに成功した記録は、「1か月間の飲まなかった日の数を毎月記録してみること」でした。
結果をどう使うかは自分次第
目標を立てて、適したKPIを設定して、進捗が見える化出来ればモチベーションは上がります。
記録が習慣化出来れば、KPIを意識する回数が増えて、次第に伸びていきます。
記録を習慣化することが出来るかどうかが一つ目の山になります。
個人的なデータが積み上がっていくと、穴を空けたくない、崩したくないという気分が芽生え、続けやすくなります。
そこまで到達できる目安が、週4回以上、8週間くらいです。
そして、科学的厳密性に拘らなくていいということも申し添えておきます。
この記録も分析も、目標達成のためのツールでしかありませんから。
ただ、強力なツールになると思います。
不動産をどうしても買いたいと思っていた時期には、物件検索の回数やシミュレーションの作成数、業者との接触数を記録して、1棟目に向けて一歩一歩近づいている実感を得るために使ったりもしていました。
ブログ伸ばしたいと思っていた時には、記事の作成数、PV数、リライト数など。
自分の頑張りで伸ばすことが出来る数字で、プラスにしかならない「累計」のような数字を追いかけるようにすることも、長期目標を挫折せずに続けるコツになります。
自分の「ツボ」にハマる記録結果の使い方を是非見つけて欲しいと思います。
人生変わるインパクトがありますから。
自分にとっての「真実の探求」になることも、一つのモチベーション材料です。
パラメータ一つ一つ分析してみても大した結果は出ず、曜日ごとの平均を求めてみたら一番はっきりした傾向が表れて、笑ったこともありました。
最近の分析でもこの曜日ごとの傾向を見て楽しんだりしています。
1日の満足度(=気分)は週初めに沈みがちで、週末手前から週末にかけて上がりやすいな。自分もフツーの人間だなー。とか。
土曜飲み会多かったなー。とか。
自分だけの個人的なデータ。
気兼ねなく好きに使えて結構楽しめます。