この記事の続きになります。
初めてのボードゲーム製作の参考として、イミュニタスを買って、家族で遊んでみました。
ゲームのルールが身についてきたら1ゲーム1時間弱で終わるかなと言うくらい。
5歳の末っ子は集中力が持ちません。
自分のターンが回ってくるまでの数分でも、ゲームに背を向けて遊びだしてしまいます。
対象年齢8歳以上となっているのも納得です。
理解は出来ていなくても、カードやトークンが手元に入ってくるのは何となく嬉しい様子。
7歳になった上の子はふりがなのない漢字が読めないにもかかわらず、ゲームに必要な効果や意義は理解してしまうようで、問題なく遊べていました。
形質細胞様樹状細胞とか、医師でも忘れてる人多いと思いますw
とまあ、遊びながらゲームの作り方、構成要素、人間を惹きつける点のサンプルを抽出しながら作る側になるとしたらどうすればいいのか考えていきました。
コンセプトとしたかったのは、
- 遊びに夢中になっているうちに医学知識が学べること
- 医師の診療における思考過程を追いかけられること
プレイヤーの役割、共通の目標をどうするか、ゲーム内の経済をどうするか、ランダムが入る要素・・・
骨子が決まってきたら、ルールの理解とゲームスタートまでに時間を取られないようなデザイン、仕組み作り・・・
そして、ゲーム内の専門用語の数々を解説するガイドブックも付ける構想があり、コツコツと解説集も作ることにしました。
やることは沢山あります。
カードやボードの印刷代、付属品の費用について試算を出して。
クラウドファンディングで広告も打ち出してみるか、と。
販売が実現するまでは時間がかかりそうだなと思いました。
試作品製作
とりあえず作ってみた試作品は、協力対戦型ゲームというシステムのゲームです。
共通の敵・目的に対して、各プレイヤーが協力しつつ、プレイを進め、終了条件を満たしたら清算。各プレイヤーのポイントを比較して順位付けをするというもの。
イミュニタスのシステムに大分引っ張られているなと思いました。
疾患、各プレイヤーの順にターンを回して、疾患はサイコロで行動を決めて、プレイヤーは行動を選択して、疾患は患者の死亡、プレイヤーは成長に向けてボード上を進行していくことにしました。
まず悩んだところ。
プレイヤーの行動が何でもできてしまうとゲームとしては成立しません。
無双状態のプレイヤーが敵を一蹴してしまうゲームは何度もやりたいと思わないからです。
トークンを集めたり、レベルが上がったり、サイコロで良い目が出せたり、何かプラスになることがあったら、出来る行動が広がる。

つまらなくならない程度の適度な「縛り」が必要になっています。
現実も、ゲームの世界も「不自由だから良い」というのは教訓的です。
そういうちょっとしたシステムを考えるだけでも、ゲームってよくできているなと感心するところが多いです。
カードゲーム型のボードゲームにすると、カードの枚数、種類にも制限があり、その組み合わせでゲームにバリエーションを出さなければならない。
作る側にも制約が至る所にあります。
羅列しまくって300以上になった疾患の種類も、削って削って9つまで減らしました。
そして疾患からの「攻撃手段」として作った症候カードも12種類に絞りました。
プレイヤーの選択できる専門科も6つまで絞って、それぞれのプレイヤー医師が使えるスキルも絞っていきました。
疾患特異的な症候があれば、診断に近づきやすくなる一方で、専門的なスキルがなければ対処できなくなる。
緊急性の高い疾患は死亡までの猶予が短い。
疾患が分からない状態でスタートする(執筆時点で実現する仕組み作りに悩んでおります・・)。
スキルによってはリスクがあり、事前準備で減らせるリスクもある。
成功率が低いスキル、準備で成功率を改善させることが出来るスキルを用意。
そんな感じで実際の臨床に寄せつつゲームバランスを整える作業を地味に行いました。
拡張パックで増やせるように、とも考えました。
トークンやサイコロなどの小物を準備するのには3Dプリンターが役に立ちました。
報酬が増えるという感覚、報酬となるモノの手触り、損失を恐れる恐怖、欠けた部分があると埋めたくなる性質、成長によって苦労してたことが簡単になるカタルシス。
ビデオゲームにもボードゲームにも取り入れられている人間の本性を「そそる」システムは深いなと思うと共に、
日常生活や勉強の中で取り入れられたら成果が上がってしまうだろうなと思うテクニックにも使え、勉強になると思いました。
イミュニタスでも困難だった「5歳でも遊べる」ゲームという課題にも挑戦したいと思いました。
今後は医療用語についても紹介しつつ、推敲を重ねていきたいと思います。
クラウドファンディングに、支援者の方にコミット出来るように。
御意見はコメント欄にてお待ちしております。
