友人とボードゲーム作りを始めてみることにしました。
ゲームショップを運営している人で、ボードゲーム、カードゲームを沢山取り扱っており、印刷業者、販路、デザイナーとのコネクションもあり、その気になれば実現性は高いという状況でした。
ゲームには人を熱中させる力があります。
ゲーミフィケーションもちょっとした流行を見せており、人を動かす仕事を考えるのなら、やっておいて学んだことは活きるだろうと確信しました。
題材は医療。
監修も含めてデザインにも携われる領域でお話を頂いたので、やってみることにしました。
でも、普段ボードゲームで遊ぶことはないのでは全くイメージがわかない。
参考にしたいと思って題材を探していて、買ってみたのが、SHIPで話題に上がったイミュニタス(免疫系ボードゲーム)です。
購入はこちらしかなさそうで、5000円を超える安くない買い物でした。
学術的な実際の関係性がゲームのルールに反映されていて、遊びながら学べるという点が僕らが作りたいものと似ていて大いに参考になると思いました。
届いたものを広げてみると・・・


ボードが3枚
プレイヤーエリアはDLしてくれと書いてあるものの、配布サイトの記載もなく探しても見つからず。
トークンやら、駒やら、チップやら、小物も沢山あり、4人プレイまでに対応しているようです。
カードの種類も20種類ほど。
組み合わせが異なれば何十通りもプレイできるというのが売りのようです。
そして、説明書が分厚い。
効果が発現したり、減弱したり、縛りがあったり、縛りの解放があったり、ゲームバランスを考える上で加わった複数の要素が、ゲームの理解を難しくしてしまっているみたいでした。
とりあえず子供とやってみました。
席について、説明書を読みながら、1ターンずつ出来ること出来ないこと、やっていいことダメなこと、確認しながら進める必要が出てきます。
30-60分のプレイ時間と書かれていましたが、最初の1ゲームは2,3時間かかるものでした。
幼稚園児はターンが回ってくるのを座って待てないくらいでした。最初のゲームだけでなく、慣れて30分で回せるようになっても。
楽しめるようになった小学生の娘は、免疫への理解も進んで面白がってやっています。
ボードゲームは面白いと思います。
ゲームに集中しなくては出来ないところ、運の要素で結果が変わってくること、戦略に点の取り方が左右されること。
繰り返しやるほどに、違ったゲーム展開が出てきて、深いなと思いました。
そして、楽しんでばかりではいられないことも理解していました。
ゲームの要素、ジャンルを決めて、登場人物を絞っていく作業を始めました。
総合診療科で仕事をしていたこともあり、見えざる疾患の診断と治療をしていく過程をゲームで再現できないかな?というところからスタートしました。
イヤーノートから疾患名をひたすら上げてみて、見たことあるレベルで絞っても300以上に上りました。
それを全部使うことは、誰にも、自分にも理解しきれないものになってしまいます。
ひたすら減らすことに徹しました。
内科系に寄ってもいい。
疾患群をひとまとめにしてしまってもいい。
医療者に遊ばせるわけではない。シンプルさを追求しました。
疾患リストとともに、症状リストを作成しました。
内科系にしておけば、どの疾患でも出る症状があったり、鑑別を考えるプロセス、検査で明らかにするプロセスを取り入れることができます。
不確実性の中で決断しなければならない状況
正体が分からないものを相手にする感覚
当たっていても上手くいくとは限らない
事前準備がとても大事
賭けに出ることを是としない
医療の中にある哲学をふんだんに盛り込んでみることにしました。


疾患、症候、ジョブ、スキル。
各要素をそれぞれに関連付けて、なるべく少ない要素で複雑さを表現できるように設計して行きました。
デザイナーさんにはある程度形になる所までは一人で考え抜いた方が良い。作りたいものを作る、くらい貫いた方が良いものになることが多い。とアドバイスをいただき、「突っ走ってみる」ことにしました。
上記は一例ですが、モックアップがようやく形になってきました。
遊んでみてつまらないところや欠陥がないか。
それから、ボードやカードをデザインに落とし込んで、説明書無しでも始められるくらい分かりやすいものに仕上げていきたいと思っています。
孤独なカード作りは辛いけど、楽しいと思います。
人とワイワイ作っていると、その時は楽しいかもしれませんが、それ自体に満足してしまって、アイデアに対する社会的手抜きも働き、良いものにはならないような気もしました。
形にするべく、進みたいと思います。
セットアップの冗長さ、分かりにくさをデザインで改善させて。
