仕事

研修医の行動から学んだ「プロ意識」のこと

研修病院のカンファレンス中にこんなことがありました。

とある研修医が症例プレゼンテーション中、患者さんの治療方針に関して議論しているときに研修医のPHSに病棟からコールがありました。どうやら、患者さんの元にコンサルテーションをかけていた他科の先生がやってきているという連絡。
テンパった研修医は議論を投げ出して、病棟に行ってしまいました。
その場は指導医が代わってカンファは終了しました。

カンファのプレゼン中に居なくなるっていうのは、患者さんを良くしたいと思っていたらあり得ないし、教育の場が要らないと思っているなら失礼だし、他所だったら居なくなるような人に主治医は任せられないと「干される」案件だと思うので気になりました。

研修医の中で、優先順位が出来ていないため起こった問題でしょう。

ではなぜ優先順位が出来ていないのか。

仕事の中で大事にすべきものは何か?

患者さんの安全、患者さんの信頼、スタッフからの信頼、学習、お金、時間。

人それぞれであっていいとは思いますが、医師である以上は患者さんの安全病気の悪化や外傷や感染などから患者さんを守ることはどうしても最優先になると思います。

そう考えると、担当している患者さんを治すための話し合いであるカンファレンスは最優先として然るべきです。

他科の先生とはカルテ上でのやり取り+後で話せば十分なわけで。

カンファは研修医にとって一番大事な時間の一つで、受持ちのCPAで呼ばれたとしても、とりあえず口頭指示して、議論は議論で終わらせてから、病棟に駆けつけるべきだと思います。

もっと言えば、主治医としての自覚、プロ意識といった専門職にとって本幹となる大事なものが欠けていると言わざるを得ません。

どうすれば自覚を持ってくれるのか。

研修指導の場では何度となく直面する問題でしょう。

自分も研修医時代を省みると似たような所があったと思います。

鑑別を考えると言っても疾患を並べて終わってたり、説明が浅くて納得し切ってない感じを残す面談だったり、易きに流れる選択したり。

やっと主治医として患者さんに寄り添えるようになったかなと思えるようになったのは、1人で主治医を任されるようになってからだったと思います。

カンファを「批判される場」から「患者さんを良くする知恵を持ち寄る場」と考え直せるようになったのもそのあたりからでした。

プロ意識を付けるための内的動機づけは、外から言ってどうにか出来るものは少ないので最終的に本人に任せるしかないと思います。

本人がどう「感じ」ているのか(人間感情で動くので)、何を一番大事価値観と思っているのか理解しようとすることが鍵になるのではないでしょうか。

「自分の時間」が大事なら、それも良いけど、信頼を失う事になったらその時間も色褪せないかな?

「金を稼ぐこと」が大事なら、少なくとも患者さんには信頼されるような態度であり続けられないと、有利な仕事に就けないんじゃないかな?

「立派な医師になりたい」「自信が欲しい」と思うなら、自分の親の主治医だったとして、その程度の理解で話を進めるか?自分自身が重病になったとき全て任せたい主治医となれてるか?

「競争」が大事なら、同期は患者さんの信頼を勝ち得るようになってるけど君はどう?早く出来るようになりたいと思わない?

「協調性」が大事なら、皆が集まる場所にはせめて居るようにしよう。皆んなと同じレベルで勉強出来るようになろう。

「患者さんの役に立てる事」が大事なら、それをモチベーションにして納得する説明が出来るまで勉強しようとしてくれたら、時間の問題で出来る様になるから自信を持ってと伝えたい。

一般的に行動変容を促すには、指示するより質問を投げかける方がいいって言われています。

ただ、何が刺さるのかは人それぞれで、その人を深く理解しないと分からないと思います。

医師は普段、患者さんを症状、検査所見から分析を重ねて鑑別診断を考え、治療、処置のメリット・デメリットを考慮して方針を決定するという複雑な分析思考を行っています。

その分析思考を研修医に向けて、現状を分析し、医師としての醸成、モチベーションを促していく研修指導の質を向上するための議論を、経験的にではなく体系的に出来るように仕組み作りができると面白いんじゃないかと思いました。

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一般内科、消化器内科、救急、脳神経外科、大学病院、関連病院、民間病院。色々な医療現場を経験してきました。 医療×テクノロジーで未来を創造することが夢です。

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