現代には、スマホ、YouTube、動画配信サービス、マンガ配信サービス、ネット、SNSと、注意力を奪うツールが溢れています。
時間が足りないという感覚を補正して、集中力を取り戻すことは、資産を増やすのと同等以上の価値があると考えています。
何を為すにも集中力が大事で、どれだけの時間集中出来たかが、その成否を分かつことになると言っても過言ではありません。
最近やりたいと思っていることが増えた影響で時間が足りないという感覚が増大してきました。
Dutyというほど強制力のあるものでなくても、やりたいと思っていることが増えて気になっていると、無意識的に脳のリソースを消費し、集中力や自制力が働きにくくなるようです。
時間感覚、注意力を改善する為に主にこちらの著書を参考にして、ワークを行っていきました。
超時間術 著メンタリストDaiGo
パレオな男こと鈴木祐さん(https://yuchrszk.blogspot.com/?m=0)とのタッグで初めて書かれた著作ということで、参考文献の数がすごく多い、科学的根拠に則った内容となっています。
分かりやすさ、実践しやすさにも拘った感じで、あっという間に読めてしまいます。
本のまとめ〜テクニックを中心に〜
マインド作りとして、時間に対して勘違いしやすいことを理解するところから始まります。
時間に対して抱きがちな3つの勘違い
・物理的な時間がない
・やるべきことが多い
・忙しい人は仕事ができる
超時間術
「時間汚染」の原因となる考え方の間違いを知るところから始まっています。
いつも時間がないと言っている人に限って、何をしているわけでもない時間がよく見受けられたりする現象は、あるあるだと思います。
日中ボーッとしていて、夕方からエンジンがかかり出して、精力的に残業する経営者から見て迷惑な社員もいます。
評価の軸がはっきりしていないものだから、残業が長い人を偉いとか言って、残業代を払って、均衡を保とうとしている組織も見た事があります。
他人の時間はもちろんのこと、自分の時間も見えないものなので、うっかりすると捨てるような使い方になっていることは多々あります。
お金と違って時間は取り戻せないもの。
せめて、現在以降の時間を大切に、何かを学ぶにしても、何かを作るにしても必要な集中時間を意識した生活がしたいと強く思ったわけです。
忙しい人ほど仕事ができないのには、3つの理由があります。
細かい作業が多くて集中力が続かない
長時間の労働で脳の働きが下がる
働き過ぎで体調が悪くなる
超時間術
生産性が最も高くなる週の労働時間は30時間と言われていました。
週休3日制です。
勤務医においては過労死レベルの月80時間の時間外労働を、更に緩和して2倍まで許容するとか言っている厚労省の検討会では、お話にならない数字です。
自分で自分の時間をコントロールしようとすると、辞めるか、代わりが見つからない強み・専門性を身に付けて交渉するしかないというのが勤務医の現状で、折角優秀な人材の能力に枷をかけている感じなのが「どうにかしたい」と思う課題感だったりします。
それは置いておいて。
勤務医を辞めてみた今はdutyに悩まされる事は殆どありません。
でも時間飢饉に知らず知らずの間に陥っていたのは、勝手に自分に課した課題が溢れてきたような感じでした。
「ゴールコンフリクト」が大きな人ほど自制心が効かなくなってしまう、という問題も確認されています。目標のぶつかり合いで時間感覚がおかしくなり、目の前の欲望に弱くなってしまうようなのです。
「時間飢饉」解消テクニック
コンフリクトのパターンを知る
・わかっているけどやらないコンフリクト
・思い込みコンフリクト
・無知コンフリクト
超時間術
コンフリクトリストを作る
1.いまの目標を10個書き出す
2.10の目標から重要だと思う5つを選ぶ
3.5つの目標の「障害」を書き出す
4.それぞれの「障害」をコンフリクトのパターンに割り振る
超時間術
アーキテクチャを作る
・減らしたい行動は、実行に必要な手間を増やす
・増やしたい行動は、実行に必要な手間を減らす
・もっとも増やしたい行動は、完全に自動化する
超時間術
セルフディスタンシング
・その問題で友人が悩んでいるとして、どうアドバイスするか考える
超時間術
マルチタスクをすると、時間が細切れになったかのように思い込み、常に時間に追われているかのように感じてしまう
私たちの脳は、一度に同じ能力を使ったときにパニックを起こします
超時間術
自分の不安を「誰にでもある自然なもの」だと認める
不安が存在しないかのように、不安を感じたまま堂々と振る舞う
超時間術
他人のために時間を割いた方が、自分の時間を有効に使えるようになる
一日一善より週一5善
(他人に親切にすると、親切に出来るほど余裕があるという感覚が、時間感覚改善に働く)
超時間術
ウソの達成感さえうまく作れば時間感覚に余裕が出来て、モチベーションが上がっていく
超時間術
休暇の計画を立てる
ここで大事なのは、出来るだけ細かくプランを立てること
超時間術
コーピングレパートリーを作ること
超時間術
インターバル読書
何のためにこの時間を使っているのかを自分の言葉で説明できるかどうか
3分読んで、1分間で要約する。頭の中だけでもやってみる
超時間術
「オープンモニタリング瞑想」では自分の「思考」や「心の動き」に意識を向けていきます。その最大のポイントは、いまの思考や体の感覚を頭の中で簡単な言葉で実況していくことです。
退屈な会議をリラックスするトレーニングに。会議を無視しているわけではない。客観的な視点を持つことが出来る。
超時間術
本書ではもっと沢山のテクニックが紹介されていますが、面白い、使ってみたいと思ったものを列挙してみました。
他人のために負担にならない程度に親切をするというのは、僕にとっては、人間関係を良くすることを兼ねていて一石二鳥だななんて思ったりしたのでした。
組み合わせたり、応用したりして知識は使ってこそ価値が出るなと思いました。
実践へ
ここまで読んでみて、ゴールコンフリクトにハマっていたんだなと気付かされました。
やりたいことが増えてきて、限られた時間の中でどれに集中できるわけでもなく、ただいたずらに時間が過ぎているという感覚に襲われ、焦りを生み、集中力・生産性が低下して、ますます時間が足りなくなる。
矛盾はなくとも、別々の方向を向いた活動を限られた時間に行おうとすると、コンフリクトを起こしてしまいます。
というわけで、まずは今やりたいことを整理してみることにしました。
コンフリクトリストを作る
やってみたいことリスト
- 3Dプリンターを使えるようになりたい
- 新しい人間関係を築くスキルを手に入れたい
- 教育、商売、人事、交渉に活かせるように、他人を動かす心理学を身に付けたい
- 自分で考えられる子供に育てたい
- iPhone & Watchアプリを作りたい
- Minecraftサーバーを運営してみたい
- 医療系ボードゲームを作って医療リテラシーを育てたい
- 在宅医として信頼を得たい
- 勉強したい:医療面接・認知症・皮膚科・緩和ケア・泌尿器科 日常臨床用知識と知恵
- 内視鏡医として信頼を得たい
- 竿頭の常連、上級釣り人になりたい
- 投資で稼げるようになりたい
ここから5個に絞るとこのようになりました。
- 新しい人間関係を作れるようになりたい
- 自分で考えられる子供に育てたい
- 在宅医として信頼を得たい
- ゲーム作りから医療リテラシーを育てたい
- 他人を動かす心理学を身に付けたい
更に、それぞれに障害となり得ることと、障害パターンを追記していきます。
- 人脈術→自意識過剰、対人不安から一歩踏み出せない=わかっていてるけどやらないコンフリクト
- 教育→親が気分屋では手本を示せない=思い込みコンフリクト(気分の波があっても出来る習慣に落とし込む術を教えられる)
- 在宅医→必要な知識が多岐に渡り、学びきれないか=思い込みコンフリクト(自分の得意な信頼の形を明らかにして実践すれば「全知」は必要ない。)
- ゲーム作りから医療リテラシーを育てたい→ゲームに関して、心理学に関して知識が足りない=無知コンフリクト
- 他人を動かす心理学を身に付けたい→理解することと実践との間にある隔たり。自信がない。=わかっているけどやらないコンフリクト
この過程で思ったことが大事だったりします。
興味、好奇心からやってみたいことと、本質的にやりたいことやアイデンティティに関わってくる活動に二分できることに気付き、優先すべきは後者だなといった具合に自分の中に判断軸が生まれたりします。
「人間関係における成長」がライフワークとして一番課題にしたいと思っていることで、それに付随して「近しい人を大切にしたい」とか、「人の時間を大事にしたい」「そのためのツールや仕組みを作ってみたい」と派生しているのかなと、自分の価値観の構造が垣間見えたりしたことは良い副産物になりました。
コンフリクトを分類してみると、わかっていてもやらないコンフリクトは、今出来るサイズまで小さくしてステップアップ方式にしていくこと。
思い込みコンフリクトは、思い込みに気づくことが出来たら、わかっているけどやらない場合同様小さくして出来ることからやっていくこと。
無知コンフリクトは、知らないことを受け入れて、知るための術を具体的に考えて、本を集めたり、人に聞いたり、聞ける人のいる場所を調べたりすれば良いわけです。
目標の大筋を把握して、価値観と照らし合わせる中で目標を取捨選択し、価値観・人生観に沿った目標にする。
コンフリクト解消テクニックのための非常に強力なテクニックです。
やってみると、迷いが減り、集中力が高まることが実感できます。
少し時間がかかるし、捨てる痛みを伴うし、現実の自分と向き合わなくてはならない、面倒さと自責の念が邪魔をして、これ自体を先延ばししたくなる部分もありますが、一度やってみると思考がスッキリする感覚があり、本当にお勧めしたいと思いました。
アーキテクチャを作る
やるべきことは20秒以内に始められるように、やめるべきことは開始に20秒以上かかるように、環境を作ってしまうこと。
いわゆる20秒ルールがまず試してみたことでした。
SNSについ時間を割いてしまう、暇潰しにアプリで漫画を読んでしまう、ゲームにハマってしまうという、スマホでの悪い癖を是正するために、漫画アプリ、ゲームアプリを削除して、SNSはホーム画面を大分スライドしないと出てこない所に置いてみました。
たいていのアプリは生活に「必要」ではないことが確かめられました。
SNSは、1日1回のチェックで十分だということが分かりました。
考えてみればよっぽど緊急であれば電話がなりますし、数時間以内の返信を要求する人との付き合いは自然消滅させられれば、メリットの方が大きいですからね。
このちょっとしたカスタマイズで焦燥感は減らせました。
そして、読みたい本は机に積んでおき、すぐ読めるようにしました。衝動買い禁止ルールを書籍だけは例外にしたりもしました。
すると、年間読書量が10冊前後から約30冊に増えていました。
意志力が試されるポイントをなるべく潰すことが疲れない生活を組み立てるコツだと思います。
間食を避けたければ、お菓子の置いてあるところに近づかない。
それ以前にお菓子を買わない。
更にその前に、コンビニに行かない。
トリガーの発生源を上流まで辿ってみると、苦しい思いをしなくても避けられるように出来ると思います。
セルフディスタンシング
ショックが残っている時など、問題や悩みと自分を切り離せない時に有効なテクニックです。
その問題が、親友に降りかかったとして、何と言って慰めるか想像してみると、意外と適切にアドバイス出来る。
そのワークを通じてメタ認知が働き、冷静に向き合うことが出来るようになります。
最近では、交流会であまり人と話せず、これといった繋がりも出来なかったなと落胆して自己嫌悪しそうになったときに、「でも交流会に参加したことが進歩だよな。参加して人脈広げようと努力したからこそ出てきた悩みじゃないか。」と小さな一歩を踏み出したことに目を向けることが出来るようになったりしました。
自暴自棄は沢山悪影響が連鎖するので、他者目線から客観視することで自己受容して、改善・成長の起点にしていくことが出来る考え方は、プラスが大きいと思います。
マルチタスク対策
これはまだ実践が不十分で、偉そうに語れるものではないと思っていますが、瞑想の習慣と、タスクごとに時間を測ること、集中度を主観的に付けてみることをやっています。
マシにはなったと思いますが、携帯の通知、パソコンの通知、周囲の環境音、集中力を奪うものは無数にあり、儀式としての瞑想やノイズキャンセリングヘッドホン、Forest(スマホ一時使用出来なくするアプリ)、Windowsのアプリの使用制限機能を使ったりして、環境を整えることが鍵かなと思っております。
感想
時間感覚を改善するミッションは、実のところ1年位かけて少しずつやってきたものでした。
非常に地味な内的な活動です。
人間の注意力は本能的に散漫になりやすく、「周りが気にならない能力」を手に入れるのは並大抵のことではありません。
時間飢饉も現代の環境の赴くままに生活していると皆ハマりやすい感覚なのだろうと思います。
1年ぶりに超時間術を読み直してみて、当てはまっていることを自覚し、時間感覚・注意力と向き合ってみることで、価値観の整理に繋がり、判断軸を見直すことが出来たのは人生にとっても有意義になると思えました。
