著:斎藤孝
雑談に苦手意識を持つ人って意外と多いと思います。
僕もその一人。
目的がない会話って、必要かどうかというところから考えてしまい、初対面であったり、あまり知らない人と敢えて話そうという「気分にならない」と、苦手な雑談を避けることを自己正当化している節がありました。
2010年初版でロングセラーとなっている本書
「何を話せばいいのか、わからない」
「どう反応すればいいのか、わからない」
必要なのは会話力ではなくコミュニケーション力。
ちょっとした「ルール」と「やり方」を知るだけで、誰でも身につくものなのです。
雑談にかかるリスクはほぼゼロです。
金もかからなければ、時間も殆どかかりません。
恥ずかしさ、スベったらどうしようという不安は付いてきますが、スベったところで何も変わらないでしょう。
得られるメリットは、計り知れません。
誰かと仲良くなること、深い関係になるきっかけにもなり、強いチーム作りにつながるかもしれません。
雑談のメリットを得られるようになるにはどうしたらいいんだろう。
雑談に感じる抵抗感を下げるのはどんなことだろう。
そう考えて本書を手に取りました。
引用したい言葉
雑談は「中身がない」ことに意味がある
その場にいる人たちと同じ空気を共有するため、場の空気をつくるために雑談があるのです。
雑談はあくまで雑談であって議論ではありません。
結論の是非はこの際どうでもいいし、誰もそれを求めてはいません。
雑談についてのスタンス、これまでちょっと力が入り過ぎていたかなと思いました。
気張った感じの、思惑のある雑談は、何となく不自然で「お互いの壁を取り払う」という一番の目的からズレた方向に向かいそうです。
「人脈作り」という言葉にもそういうニュアンスがあって、あまり好きではないです。
雑談は、気楽に話していい雰囲気にさせるもの。それ以上を目指したいなら、その先に深い会話に進んでいけばいい。
「空気を読んで黙っている」ことなく、空気を作るために話しかける側に回りたいなと思いました。
あいさつプラスα。
もっとも簡単で誰もが始めやすい雑談の基本スタイル
他の本でも見たフレーズ。
あいさつした流れで少し話すところから、関係作りをしていくのがやりやすい定番の話し方だと思います。
一問一答は拒絶と同じ。「一問二答以上」が返しのルール
一問一答のアンケート形式でやり取りしていると、質問を投げかける側が疲れてしまいますよね。
話し掛ける側から考えても、一答ずつしか返ってこない微妙な会話の時は「あまり話しかけられたくない?」と察してフェードアウトすると思います。
「今ちょっと話せない」と言う人は稀だと思うので、そういった空気を読んで話す人を選ぶセレクションは日々行われていると思います。
「自意識」「プライド」のハードルを下げると、楽になる
感じたこと、思ったことは、もっと素直に、そのまま口に出していいんです。「恥ずかしいから話さない」というのは、結局は自分のことだけに意識がいきすぎる結果として生まれる発想。そこには相手のことを考える気持ちが抜け落ちています。
自意識過剰問題は痛いと思った話です。
最近は改めるように気を付けている所ですが、上手いこと、気の利いたことが言えなくて、中身がないと思われたくないから話さないとしてしまうことが昔はありました。
僕の場合は、恋愛がそれを打ち破るきっかけになったと思っています。
ちょっとした雑談が重ねられると、日常が楽しくなるのは間違いありません。
楽しい気分でいるから、つい雑談してしまうという因果関係も同時にあるでしょう。
社会における「幸せ」の価値は増していくことと思います。そういう意味でも雑談は大切だと思います。
相手との共通点をひとつ見つける
実践のための足掛かりの一つ。相手との共通点探しです。
定番ですけど、「何を話したらいいか分からない」と落ち着きが無くなっている時、思い出してみると使える技術だと思いました。
「この場にいる」という共通点がとりあえずありますし、相手の発言、立場、見た目に注意してみると、全く共通点のない「異世界の人」は寧ろ少ないと思います。
人は誰もが、本当は話したがり屋
勇気が出ないときに思い出してみると良いフレーズだと思いました。
誰でも話したい欲求、聞いてもらいたい欲求は持っていて、口数の少ない人ほど、実は欲求をため込んでいることも多いです。
そうすると、沢山しゃべりたくなる刺さる質問をしてみたいと思うようになってきますし、そのとっかかりとして声をかけてみると意外と仲良くなれたりします。
感想
雑談についてのマインドセットを見直す良い機会になりました。
仕事のための雑談と、肩ひじ張って雑談しようとすると、やっぱり余計に緊張したり、取り繕って本来の自分を隠して迎合しようとしたり、上手くいかないことが多いと感じます。
何ということはない日常を少し豊かにするという感じで、気軽に話を弾ませるように、相手を引き出せるようにと、雑談スキルをアップしていくと、思わぬところから仕事に繋がったり、好印象となっていたりするのが理想なんじゃないかなと思いました。
流石に10年前に発売されていながら未だに売れている本。
ソフトスキルの重要性が見直されていることもあって、ますます雑談が大切になってくるんじゃないか。
その一助になる本じゃないかと思いました。
